労務リスクマネジメントも川の流れで考える

私がまだ、この会社を始める前、
保険代理店として、損保の販売を始めたころの話です。

リスクマネジメントの学校というのに行きまして、
企業リスクの扱い方を習いました。

リスクはゼロにはできないが、マネジメントすることが大切、
ということでした。

マネジメントする前に、全貌を知ることが必要なのですが、
それは川の流れに例えるとわかりやすいです。

上流・・・未然防止

中流・・・事故対応(被害拡大の防止)

下流・・・復旧

これを見て、「アレ、何かに似てる・・・?」って思った方。
勘がいいですね。

そう、メンタルヘルス対策でよく言う
1次予防、2次予防、3次予防とそっくり。

いや物事は、ほとんどこれで行けるんじゃないか。

仕事、家庭生活、遊び・・・

悪いことが起きる原因を排除し、

何か起きたら早急に対処できるように準備しておく。

あとは、一刻も早く元通りになるように・・・

ここで大切なことがあります。
それは、上流、中流、下流のすべてを
平常時に準備しておく!ということです。

事故が起きてから、拡大防止をしようとしても、
人出もお金も足りないかもしれない・・・

事故が起きてから、復旧しようとしても同じです。

リスクマネジメントというと、未然防止ばかり考える人がいますが、
生きていれば、事故をゼロにすることは不可能です。
ですから、中流も、下流も
セットで考えておいてね、という事です。

次回は、いくつかの事故を例にとって、具体的に解説しますね。

割と、何もしていない企業からの問い合わせは少なくて、
「過去に管理職向けの研修は実施したことがある」
「外部の弁護士に相談窓口を引き受けてもらっている」

などの対策をしているところがおおいようです。

ではなぜ、当社に支援を依頼されるのでしょうか。

それは・・・施策の効果が感じられないまま、
あらたな事案が起こってしまうからでしょう。

お話しした通り、ハラスメントはゼロにはできません。
ただ、「言い方の問題、受け取り方の問題」として放置するのも危険です。

ご存じのとおり、最近では行為者(ハラスメントを行う人)も、
企業も、同時に責任を問われる時代なので、
管理職を委縮させたくない反面、
一般的な知識くらいは教えておこう、と企業が考えるのは
当然かもしれませんね。

そうそう、ご存知ですか。
全国の労働局など、公共の期間に寄せられる労働相談の
内容のトップは、ここ数年ずっと、「いじめ・嫌がらせ」
つまりハラスメント関連の相談なんですよ!

すべての労働相談は平成20年からずっと
100万件越えで推移していますが、(それだけでも、すごい!)
そのうち、民事上の個別労働紛争が25万件弱で、
そのうち、ハラスメント関連は6万件と2割以上を占めています。

職場の人間関係が悪いからって、
小学生じゃあるまいし、人事がイチイチ話を聞いて
仲直りをさせてたんじゃ、ラチが開かないし・・・

まあ、企業としては、生産性を低下させるほどの
職場環境の悪化を防止したり、
それに伴う労務リスク(労使の紛争など)の発生を
防止したりするのが、精いっぱいだと思います。

でもね、ハラスメントはゼロにならないんです。

ですから、ハラスメント防止そのものを論ずるよりも、
たとえばパワハラであれば、
「上司が、業務効率を考えて部下に仕事を与えているか」
「上司が、明確な目標、正しい評価を正しく部下に伝えているか」

けっこうメチャクチャな指示を出しまくって
部下に迷惑かけている上司って、いるんだそうです。
つまり、マネジメントがヘタクソ、っていう事です。
で、うまくいかないから、余計に怒鳴ったりしちゃう人も・・・。

こういう人を作り出してきたのは
(つまりちゃんとmgr教育してない、
もしくは中途であればマネジメント能力の無い管理職などを採用するとか)
企業側なわけだから、きちんと反省して、責任とって再教育するとか、
もっとマネジメント上手な人を配置するとかすれば、
パタっとハラスメント事案が無くなる、というような事例はあるものです。

マタハラ防止であれば
「従業員全体が、ダイバーシティを理解し、推進しようと考えているか」
(これには会社の方針発表も不可欠)
「職場に、もともと助け合いの精神、お互い様の精神があるか」
といったところがポイントだったりします。

これもパワハラと同じで、根本原因があるのに、
表面上の「ダイバーシティ推進室」→なぜか室長はどこも女性・・・
みたいなのを作って満足している経営陣があとを絶たず・・・

ああ、どうしよう。

こういう企業から、ハラスメント研修の依頼などあると
絶望的な気持ちになる私なんです・・・。

コラム

PAGE TOP