ルールなき不調者対応の怖さ

ある企業から相談を受けて話を聞いていたら、
冷や汗が出てしまいました。

本社から遠く離れた拠点で不調者がでたので
休職させていたが、本社が知らないうちに、
復帰していた、とのこと!

え?という感じですが、こういう話、少なくないのです。
拠点長が、主治医からの診断書で判断し、
自己流のリハビリまでさせていたそうです。

なんと、この間「休職中」ですよ!

ということは・・・?労災の適用下にない!

ということは・・・万が一、通勤途中、不調者が
電車に飛び込んで大怪我、ということにでもなったら、
いったい誰が、どう責任を取るのでしょうか。。。

本当に冷や汗ものです。
気をつけましょう。

本社以外の拠点向けマニュアルの整備など、お願いしますよ、皆さん!

割と、何もしていない企業からの問い合わせは少なくて、
「過去に管理職向けの研修は実施したことがある」
「外部の弁護士に相談窓口を引き受けてもらっている」

などの対策をしているところがおおいようです。

ではなぜ、当社に支援を依頼されるのでしょうか。

それは・・・施策の効果が感じられないまま、
あらたな事案が起こってしまうからでしょう。

お話しした通り、ハラスメントはゼロにはできません。
ただ、「言い方の問題、受け取り方の問題」として放置するのも危険です。

ご存じのとおり、最近では行為者(ハラスメントを行う人)も、
企業も、同時に責任を問われる時代なので、
管理職を委縮させたくない反面、
一般的な知識くらいは教えておこう、と企業が考えるのは
当然かもしれませんね。

そうそう、ご存知ですか。
全国の労働局など、公共の期間に寄せられる労働相談の
内容のトップは、ここ数年ずっと、「いじめ・嫌がらせ」
つまりハラスメント関連の相談なんですよ!

すべての労働相談は平成20年からずっと
100万件越えで推移していますが、(それだけでも、すごい!)
そのうち、民事上の個別労働紛争が25万件弱で、
そのうち、ハラスメント関連は6万件と2割以上を占めています。

職場の人間関係が悪いからって、
小学生じゃあるまいし、人事がイチイチ話を聞いて
仲直りをさせてたんじゃ、ラチが開かないし・・・

まあ、企業としては、生産性を低下させるほどの
職場環境の悪化を防止したり、
それに伴う労務リスク(労使の紛争など)の発生を
防止したりするのが、精いっぱいだと思います。

でもね、ハラスメントはゼロにならないんです。

ですから、ハラスメント防止そのものを論ずるよりも、
たとえばパワハラであれば、
「上司が、業務効率を考えて部下に仕事を与えているか」
「上司が、明確な目標、正しい評価を正しく部下に伝えているか」

けっこうメチャクチャな指示を出しまくって
部下に迷惑かけている上司って、いるんだそうです。
つまり、マネジメントがヘタクソ、っていう事です。
で、うまくいかないから、余計に怒鳴ったりしちゃう人も・・・。

こういう人を作り出してきたのは
(つまりちゃんとmgr教育してない、
もしくは中途であればマネジメント能力の無い管理職などを採用するとか)
企業側なわけだから、きちんと反省して、責任とって再教育するとか、
もっとマネジメント上手な人を配置するとかすれば、
パタっとハラスメント事案が無くなる、というような事例はあるものです。

マタハラ防止であれば
「従業員全体が、ダイバーシティを理解し、推進しようと考えているか」
(これには会社の方針発表も不可欠)
「職場に、もともと助け合いの精神、お互い様の精神があるか」
といったところがポイントだったりします。

これもパワハラと同じで、根本原因があるのに、
表面上の「ダイバーシティ推進室」→なぜか室長はどこも女性・・・
みたいなのを作って満足している経営陣があとを絶たず・・・

ああ、どうしよう。

こういう企業から、ハラスメント研修の依頼などあると
絶望的な気持ちになる私なんです・・・。

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